従業員数50名未満の場合 よくあるご相談
- 従業員の健康診断結果が帰ってきたが、従業員就業判定ができていない
- 健診結果で血糖値が450と書いてあったが、どのように対応したらよいかわからない
- 時間外労働が100時間を超えている従業員がいるが、どうしたらよいかわからない
- 相談できる産業医がいない
- 従業員が適応障害で休みたいと申し出たが、これから先、復職などの際の従業員サポートを含めてどのように対応したらよいかわからない。
はら内科クリニックでは従業員数50名未満の企業様の健康サポートも行っています。
会社では従業員の定期健康診断を実施していますか?
法律により1年以内ごとに1度の実施が義務付けられていますが、健診後の医師による意見聴取(就業区分判定)の実施までが義務であることはあまり知られていません。
医師による就業区分判定をなぜ実施しないといけないか、その理由、就業区分判定を行わないことで生じるリスクなどをお話します。
ご存知でしたか?
従業員50名未満の事業場には産業医の選任義務はありませんが、50名以上の事業場と同様に安全配慮義務があり、①健康診断の実施、②健康診断後の医師からの意見聴取、③長時間労働者に対する医師による面談、の3つ実務を行わなければなりません。
産業医とは、事業場において労働者の健康管理等について専門的な立場から指導・助言を行う医師ですが、では、どのような会社(事業場)に産業医が必要かご存知でしょうかか?
答えは、「常時50名以上の従業員を使用している事業場」です。
例えば、岡山市本社200名、真庭支社10名の従業員を雇用しているという場合、岡山市本社では、1事業場あたり50名を超えているため産業医を選任しなければなりません。
一方で、真庭支社ではどうでしょうか?
たしかに、産業医の選任義務はありませんが、しかし、従業員50名未満の事業場においても「安全配慮義務」が求めれらているのです。
労働契約法第5条では下記のように定められています。
労働者の安全への配慮
「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」
特に以下の3点においては、従業員数に関わらず事業者は安全配慮義務があり、注意が必要です。
①健康診断の実施(労働安全衛生法第66条 )
「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければなりません。」
②医師からの意見聴取(労働安全衛生法第66条の4)
「健康診断で異常の所見があった労働者は健康診断を行った日から3ヶ月以内に、健康診断結果について医師(産業医)等から意見聴取を受けなければなりません。」
③長時間労働者への医師による面接指導(労働安全衛生法第66条の8)
「時間外労働が長時間に及ぶ労働者に対し、疲労の蓄積状況の確認など、医師による面接指導をします。
また、事業者は、時間外労働や休日労働が1ヶ月あたり100時間を超える労働者からの申し出があれば、医師との面接指導を受けさせなければなりません。」
①から③まで守られていますか?
従業員数50名未満だけど一人ひとりの健康を守りたい、そうお考えの経営者の方に、はら内科クリニックでは手厚く支援をしています。
例えば、産業医はどんな仕事をするのですか?
労働者の健康診断と事後措置
産業医の重要な業務として挙げられるのは、労働者の健康診断結果の確認、健康管理区分を決定し、事後指導を行う業務です。
労働者は、毎年1回以上、健康診断を受ける必要があります。産業医は、健康診断結果より労働者の健康状態を把握し、継続して就労できるか、場合によっては就業の制限が必要であるのかを健康管理区分として決定します。また、健康に問題がある場合、労働者との面談等を実施し、必要に応じて就労の制限や休職などの措置についての意見を事業者へ伝えます。
長時間労働者の面談
長時間労働は、脳や心臓疾患、精神疾患のリスクになるとされ、労災認定の要件にもあります。
基準を超えた長時間労働をおこなっている労働者に対して、産業医面談を行います。
産業医の面接指導の対象となる労働者は、以下の通りです。
- 時間外・休日労働が月80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる者(申出)
- 時間外・休日労働が月100時間を超える研究開発業務従事者
- 健康管理時間が月100時間を超える高度プロフェッショナル制度適用者
はら内科クリニックでは事前問診シートを用いて、先に情報収集を行い、該当の従業員と面談を行います。
また、必要に応じて職場環境、上司や同僚などへのヒアリングを行い、それぞれの企業様の職場環境や状況を考慮した健康に対する判定を行います。労働者へ必要な指導を行うとともに、場合によっては就業制限の必要性を事業者に意見し、また、専門医療機関へ紹介なども行います。
事業場の巡視
月に1回、事業場の巡視を行います。
巡視結果は紙面で事業主に報告します。職場巡視では、例えば有機溶剤の取り扱いについてや、粉塵や騒音管理についてなど、作業方法や作業環境などについても改善点を指摘・指導します。
夏場は高温環境下での作業に注意が必要ですし、休憩室での衛生状況(例えばトイレや弁当の置き場所についてなど)についても指導を行うことがあります。
職場巡視の大切な目的のひとつは、会社で働くことによる労働者の危険や健康被害を未然に防ぐことです。
安全衛生委員会の参加
安全委員会・衛生委員会は、労働安全衛生法に基づき、常時雇用している労働者数が50名以上の事業場で設置が義務付けられています。
はら内科クリニックでは衛生委員会のない企業様の初めての衛生委員会の立ち上げからサポートが可能です。
産業医はその専門的知見をもって従業員の健康増進、労災などの再発防止に関する助言などを行います。
休職中の労働者の復職判断
産業医は、病気や怪我等で休職している労働者の復職判断を行います。
治療を受けている病院の主治医からの意見なども参考の上、産業医は職場環境や労働状況など、普段から企業様のことを知っている産業医として、労働者面談などを踏まえて労働者が復職できる状態か、復職できる場合でも就労制限が必要か、などを判断します。また、復職のための支援を検討し、復職後も継続して支援を行います。
産業医がいない企業のリスク
産業医がいない場合、事業主にはどのようなリスクがあるでしょうか?
例えば、健康診断で血圧が220/120mmHgの従業員の就業区分判定を怠り、普段どうり仕事をさせてしまい、業務をおこなっていて心臓発作や脳発作で倒れたとします。この場合、事業主・企業様に責任が問われることがあります。
実際に企業側の健診後の対応が悪くて東京高等裁判所から数千万円の損害賠償支払い判決を受けた判例もあるようです。
労働安全衛生法で義務ずけられている以上、就業区分判定を適正に行い、安全配慮を十分に行う必要があります。従業員が健康で働ける環境を確保するとともに、企業様側のリスクを未然に防ぐことにもなります。
ご契約・業務開始までの流れ
① ヒアリング
貴社のご状況・従業員数、老作業環境などの必要な内容をヒアリングいたします
② お見積り
ヒアリング結果を踏まえてお見積りを作成いたします
③ 契約
双方合意となりましたら、正式に契約となります
④ 業務開始
産業保健(労働安全衛生)活動を開始いたします
産業医を選任する際には、政府や自治体の補助金を利用できるケースがあるようです。例えば「団体経由産業保健活動推進助成金」では、事業主団体などが傘下の中小企業に対して、ストレスチェックの実施や職場環境の改善を目的に産業医と契約した場合に、活動費用の90%(上限500万円)(令和6年度)を助成。
参照元:厚生労働省 団体経由産業保健活動推進助成金のご案内