一般的には、ウイルス性胃腸炎の場合には、おもに小腸粘膜に感染することから、水様性の下痢と嘔吐が主症状である場合が多いです。
一方で細菌性の下痢の場合には、大腸などに感染することが多く、下痢や腹痛のほかに血便が生じることもあります。
ロタウイルス感染症については現在は定期予防接種の対象となり、生後間もなく予防接種を行うことができるようになりました。
潜伏期は1日から3日程度といわれています。
嘔吐下痢症を生じるウイルス感染による胃腸炎ではノロウイルスやロタウイルスが多いとされています。
ウイルス性腸炎と別に細菌性腸炎がありますが、これらには病原性大腸菌、カンピロバクター、サルモネラ、腸炎ビブリオなどがあります。
主にこれらのウイルスが付着したものを口から接種することにより感染するといわれています。特にノロウイルスは生ガキなどから感染することが知られており、生ガキの接種および、生ガキを調理したまな板などに付着してその他の食材から感染するリスクがありますので注意が必要です。
また、便中に多くのウイルスが排出されており、吐物の感染力も強いことが知られています。
吐物が乾燥してエアロゾル化したものからも、感染しうるため、吐物や糞便を適切に処理することも大切です。症状が治まってからも便中に数週間以上排泄される場合もあり、注意が必要です。
これらウイルス感染症には便を用いた抗原検査を行う場合もありますが、保険診療での検査には検査対象が決められているため、流行等から臨床診断する場合もあります。なお、ロタウイルス感染症の場合には便が白くなることが知られており、白い便が出ている場合には医師に伝えるようにしてください(スマホなどで写真を撮って持参ください)。
一方で、ロタウイルスやノロウイルスには有効な治療法がないことが知られており、対症療法(整腸剤など)が行われます。
ウイルス性腸炎に対しては抗菌薬は無効ですので、対症療法が中心となり、整腸剤や胃薬、脱水への対応となります。
水や、お茶、スポーツドリンクなどを少しずつ回数をやや多くして接種しましょう。一度に大量の水分を摂ると下痢をしやすくなったり、お腹が痛くなりやすいので注意しましょう。
感染力が強いウイルスですので感染拡大には注意しましょう。ウイルスがついた。食べ物、水、手などを介して感染しますので、患者さんと接触した場合には手洗い、うがいをしっかりと行ないましょう。ノロウイルスはアルコール消毒は無効なため、石鹸ならびに流水でしっかりと手を洗いましょう。食器などは、熱湯 (1分以上)や0.05-0.1%次亜塩素酸ナトリウムを用いて洗浄、食品は85°C、1分 以上の加熱が有効とされています。